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VOCALOID(作品の制作エピソードなど)やゲーム・日記中心のブログ

「愛よ、永遠にサヨナラ」、愚者たちへ向けられた魂の叫び

VOCALOIDオリジナル曲制作秘話




Lily体験版のリミットが来たことで、今回がLilyの最後の作品となった。
正式で3作も制作したのだから体験版にしては有効に使ったといってもいいだろう。
この場を借りて、インターネットさんに心から感謝したい。

確かに、Lilyを始めたきっかけはやってみたかったから、それに加えて「Lily歌わせてみたコンテスト」に挑戦してみたかったというのがあった。
折角、公開を目的とした創作活動をしているのならこういったイベントにチャレンジすることも必要だと思った。
また、こういった機会があればやってみたいと思っている。
確かに、無名を極める存在が世界的スーパースターとか音楽部門の長者番付1位の印税も貰っている著名な人を相手に無謀に挑むようなものだが(笑)、何度やっても全て失敗なんてのはもともとだとそこは割り切る。

そこから始まった、事実上のLily3部作の最後として以前から構想していたこの「愛よ、永遠にサヨナラ」という曲はどれだけ理不尽に描くかというところに重点が置かれていた。
その最たる構図として常に頭の中にあったのが「一術は百誠に如かず」「汚い悪(偽善・醜善)が最後に必ず勝つ」みたいなもので、例えば特撮ヒーローもので、ヒーローが悪を倒し続ける番組で最終回でヒーローは悪に倒されて完結とかみたいなもの。
最後に必ず勝つのは「愛を踏みにじる欲望の亡者」、愛を信じる者は「最終敗者」となり滅亡する。
亡者は、愛の存在する意味を顧みることなく欲望のためにあらゆる手段を選ばず、誠実に生きた人間を邪魔者として切り裂いていく。
クリップの最後で、「赤い地球」が出てくる。まるでスピルバーグ監督の映画「宇宙戦争」のような光景にも思える。
この赤い地球の赤の色素となるのは当然、亡者たちによって殺された愛を信じる者、誠実に生きる者の体を斬った傷口から流れ出た血液だ。
勿論、ここでいう亡者とは欲望の亡者であり、「金こそ全て」と信じて疑わない者たちである。
その誰もが金に満ちた贅を極める身分でそれに至るまでの手段は正に卑劣を極めている。
例えば、「これは俺達がセレブになるための正義の行い」と主張する振り込め詐欺をする詐欺師、大金職の権力維持の敵を葬るために意見を聴く場にチート行為を幾重にも張り巡らせて反対勢力を正当に潰す権力者など。
やがて、愛と誠実が地球上から消えると残った者たちはさらなる奪い合いを開始する。
それは、もはや「自滅」への道をただひたすら突き進んでいることにも当然気付かない。
「金さえあれば何でも叶う」、既に社会構造の中の必要不可欠な存在すらなくなっている事にも気付いていない。
大金持ちの特権ともいうべき高価な料理なんかがそうだ。その料理を作るための高度なスキルと食べる者に対する「愛」が無ければ食べる者を満足させられる高価な料理はその味覚をうならせることはできない、それ以前にその料理の素材となるものを作るのは庶民たちであり、その庶民たちの「愛」が無ければ料理人の愛によって引き出されるはずの素材の良さも無いのである。つまり愛亡き世界ではどんな大金を出して高価な料理を食べようにも満足させられる結果を得られなくなる、それは愛亡き世界はもう自滅への道を突き進んでいるといえ「金さえあれば何でもできる」という論理の破綻である。
このような例は上げればキリがない。
皮肉っていえば誠実に生きてきた人間が死なされるというのはそんな亡者たちと世界ごと一線を画せるのが幸せなのかもしれない。
そして、愛が世界から全て根絶やしにされたらそこから先はおのずと分かるだろう。支える者を愛を狩り殺すと同時に葬り去った代償は必然的に払わされる。それはどんな巨額の金を持ってしても免れることはできないのだから。
さらに言えば、自分以外の全てを邪魔者として葬り去ってしまったら分かる。
お金をどんなにたくさん持っていても、お金は人を動かして目的を果たすがゆえ他の人がいなければお金はただの紙切れでしかないし絶望も救わない。それは最も悲惨な死そのものでしかない。

世界観に関することはこのくらいにして、今度は曲とクリップについて。
今回Lilyの作品だがトライアル版を使用している関係で、タイムリミットとの戦いでもあった。
実際、タイムアップギリギリのところまで来ていた。
当然プロジェクトの保存はトライアル版の関係でできないので、ミクやルカでデータを作って保存し、それをLilyで読み込ませてWAV化する方法をとった。
初音ミクの体験版時代はそれが初めてのボーカロイドだったために保存できない分ほぼぶっつけ本番の状態だったし調教すら叶わなかったがそんな時とはもう違う。
タイムリミットで最も恐れたのはフレーズがそう簡単に閃いてくれないというのがある。
大抵こんな場合は無理に考えようとせず別のことをやって気を紛らせばいいしそこで何かが閃くかもしれないのだがトライアル版だとそうはいかない。
インストールから30日経過で自動的に起動不能になるだけに無駄に時間を浪費することはどうしても避けねばならなかった。
そんな状況でよく歌詞がここまで書けたもんだと自分でも驚いている。
当然、曲を考えるのはその後で十分である。
でも、やはり詞がここまで出てきたのは既に自分の頭の中で構図が出来上がっていたからかもしれない。

・最後に必ず「悪」が勝つ
・約束は破るためにある
・全ては1人の欲望のための犠牲のために存在する
・人は人の上に人を定義し人の下に人を定義する
・愛は愛を狩る者に寝返るためにある、そして踏みにじるためにある
・情報は人を操るためにある
・目的のためなら命の恩人すら裏切り、時に死に至らしめる
・万死に値する行為は誰がするかで裁かれるか否かが決まる

既に、これだけそろえばこの曲の世界観を描くのには十分であった。
愚行極まった世界の終末、以前公開した「呪界」よりもファンタジー色を失くした世界観である。
そして、その理不尽さを表現するなら以前の呪界でやった表現手法でやっていけた。
幸せの絶頂に向かって描かれていく感動大作が、その途中からあまりにも凄惨な光景の連続へと急展開していくというやり方である。そして、その凄惨なシーンに回想で愛を誓い合うシーンを織り交ぜればそれだけで理不尽な表現というものはできてしまう。
曲の最後の効果音はその極限の理不尽な虐殺シーンを想像してもらうために入れた、最もそのシーンの音を構成するのもそう楽ではなかった。
悲鳴と銃声と斬殺の音が飛び交う中にさりげなく「さよなら」という最期のセリフが混ざっている。


今回は、一度愚行のなれの果てがどんなものかというのを疑似的に具現化するような形の作品となったが、クリップのシーンのキャスティングとそれを満たすためのイラスト選定も重要だった。
今回とった手法は、Lilyはあくまでもシンガーという位置づけに専念し、ドラマシーンを他のボーカロイドキャラにやってもらうという形だ。
出演は、ミク・リン・レン・ルカ・カイト・メイコ・がくぽの7人で、ミクの卒業写真のシーンで7人が勢ぞろいしている、これをベースにして他のイラストを2つの条件を満たすように選定することが重要だった。

・幸せを謳歌する
・最悪の結末を迎える

ミクは自分の紙を切り落とし、凶器の顔をして睨みつけその手は血の滴る鋏を持っていた。
リンとレンはベッドの上で二人で部屋中もろとも全身血だらけになっていた。
ルカはその回りに多くの鮮血が散らばるその真っ只中で既に正気を失っていた。
がくぽは吸血鬼のような姿に変わり果てた。
カイトとメイコは教会で式を挙げ幸せへの第一歩を踏み出したが、愛を狩る者の魔の手はそこにも伸び、教会には火が放たれ、幸せを誓い合った二人は炎上する教会の中で炎に包まれていった。

教会に火を放つというと、昔「パトリオット」というメル・ギブソン主演(ローランド・エメリッヒ監督)の独立戦争を描いた映画にも出てきて結構トラウマになってた。あの映画でのジェイソン・アイザックスが扮するイギリス軍の暴虐に満ちた指揮官はすごいインパクトあったが。

そして、Lilyは途中に2度登場するが今回はマイクをいかにもシンガーらしく握り締めている。
この歌うシーンでLilyがこの悲劇に満ちた歌を力いっぱいに熱唱するという表現を織り交ぜて、ただのドラマでなくミュージッククリップとしての作品性を出したかった。
ちなみに、Lilyをシンガーに専念させた理由はもう1つ、Lilyのボーカロイド発売からまだそんなにたっておらず、イラストもシチュエーション的にもバリエーションが足りなかったというのがあった。
実は、Lilyが血を流すシーンもあったのだが結局ボツになった、というよりLilyの位置づけを切り離して考えた方がいいという判断に至った。

以上がこの曲の制作の全貌である。
事実上のLilyの3部作となった訳だが、また別のボーカロイドでこのような機会があったらまたやってみたいと思う。30日っていうのは過ぎるのはアッという間だったが。

最後に、ニコニコ動画では未公開だが、Lily版呪界をYoutube限定で公開しているので貼っておこうと思う。
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夢永美朱

Author:夢永美朱
趣味は映画・音楽鑑賞(制作)とテレビゲームです。
ニコニコ動画で「夜色P」というP名を命名して頂きました。
宜しくです。

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